こんにちは、Wideneckerです。夏から秋に差し掛かり、強敵出没の気配です。はい、秋の花粉症です。
目のかゆみ、くしゃみ、アレルギー性の咳も伴うことがあります。
時節柄、周囲の目も厳しく・・・改善したいものです。
今日は、過去に出会った卒業生とのエピソードです。自分の胸に深く刻まれている生徒たちです。
今、先生をされている方には、こういう出会いを増やしてほしいです。
その1 姉妹の喧嘩
私がまだ駆け出しのド素人だったころです。徐々に受け持ちのクラスやコマが増えていき、室長先生から中3クラスの社会を託されました。なかなかのプレッシャーだったのを覚えています。そのクラスの中に、私立高校の推薦入試を目指している女子生徒がいました。内申点の基準を突破するために、社会の成績を「4」から「5」にしなければいけませんでした。そのためには、定期テストで90点以上を取ることが求められます。彼女は、暗記が苦手・・・。分野は、公民(政治分野)です。そうでなくても、受験学年の担当なので、いつも以上に念入りな準備をして授業をしたのを覚えています。結果として、93点というクラス上位の得点を獲得し、無事に推薦入試も突破してくれました。
数年後、妹さんが入塾をしてくれました。数ヶ月たって保護者面談の機会があり、色々と話をしていくうちに、お母さんから次のような話をされました。
母「そういえば、先生のことで、◎◎◎(姉)と○○(妹)で喧嘩をしたんですよ。」
私「え?」
母「○○(妹)は、先生の授業が本当に好きで、『授業が上手で、分かりやすくて、楽しい』と◎◎◎(姉)に言ったら、『すごく一生懸命な先生だったけど、授業は上手くない』という話になり、妹のほうが『そんなことない!』と言い合っていたんですよ」
授業担当して半年未満だった姉の時代なので、おそらく姉の言っていることは正しかったのでしょう。お世辞にも、先輩社員たちのような滑らかな授業をマスターしていたとは思えません。それでも、私自身は必死だったのだと思います。その生徒1名のためだけでなく、受け持った生徒にいい点数を取ってもらいたい、取らせなければならない、という使命感を教えてくれた先輩のおかげでもあります。
日々の忙しさの中で、ついつい「手抜き」をしてしまうことがあるかもしれません。
生徒の目を見て、堂々と授業ができない日があるかもしれません。次の授業で取り返してください。
生徒たちは見抜いています。目の前の先生から魅力を感じ取る力を持っています。
黒板の前に立ったら、役職も経歴も関係ない 1人の「人」として影響力を与えられるか
どんなに授業を全力で頑張り、課題を管理し、時は強い口調で説得をしたとしても、その生徒自身がやる気になり、努力をし、想いを解答用紙にぶつけない限り結果につながりません。
「塾講師の仕事は授業をすることだけではなく、子供の意識と行動を変えること」と謳われるように、私たちの役割はきっかけ作り、導火線への点火役と言えるのかもしれません。
安定した教室作りのためには、「人」の力がとても大切なのではないでしょうか。講師だけでなく、事務さんも含めたチームとして、生徒の様子を注視して毎日を過ごすことが大切です。
通塾をしながら、「この環境でよいのか」と考えているご家庭もあると思います。少しの手抜きや油断、慢心が原因となって、生徒の心を震わせることができなくなったとき、その教室の未来は閉ざされてしまうことになります。
その2 責任の大きさを感じた日
こちらも、私が入社1年目のお話です。夏期講習も終盤に入り、小学校5年生で入塾を検討していただいている2名の女子生徒がいました。本人と話をしても煮えきらず、結論が出ません。算数を担当していた先輩がフォローをしていたのですが、良い返事はもらえませんでした。最後のクローズを国語担当の私からすることになりました。
すると、片方の保護者から「国語の先生でいらっしゃるんですね。直接お話をしたいのですが、お時間をいただけますか」と言われました。なにか問題を起こしたのではないかと嫌な汗をかきました。保護者面談の経験がなく、初めてのことでした。
すると、保護者の方からいただいた話は、意外なものでした。
「実は、娘は小学校3年生のときに、担任の男の先生と相性が悪くて、それ以来、大人の男性に対して苦手意識が強くなってしまい、なかなか心を開くことができなくなってしまいました。それではいけないと思い、今回は、夏休みだけという約束で、○○ちゃん(友達)と一緒に勉強に行く約束をしました。どうなるか心配だったのですが、塾から帰ってくると国語の先生のことを楽しそうに話をするんです。スイカが嫌いとか、知っていますよ。そんな風に、娘を変えてくださった先生がどんな方なのか、一度お会いしたかったんです。」
ただ単に、口数の少ない控えめな女の子だと思っていたので、たくさんたくさん話しかけて笑わせて、接していただけですが、そのように感じ取ってくれていたのは、とても嬉しく思いました。その後、「引き続き、見ていただけるなら、お願いします」と入塾の書類を書いていただきました。その後、卒業まで2名とも在籍をしてくれた上に、どちらの家庭も、弟さんにも入塾をしていただきました。
ちょっとこっちにおいで、話をしよう。 いいから、ほら。
先ほどの生徒の入試期です。当時は、公立高校に推薦入試があり、一般入試の前に合格が決まることがありました。ただ、狭き門だったので、どの生徒にも期待をしないように散々言ってありました。その子も推薦入試に出願し、案の定、不合格でした。通塾時に、声をかけると、「全然気にしていないから大丈夫」と口にしていたものの、明らかに様子がおかしいことに気が付きました。休み時間に呼び出し、「◎◎、落ち込んでいるだろ?」と尋ね、 「平気」 と言った瞬間に涙があふれてきて泣き出しました。「不安、怖い、受験したくない」と本音をこぼしてきました。それまでのデータを見る限り、一般受験で大きな失敗をしなければ、余裕を持って着地できる算段だったので、励まして帰宅させました。保護者に電話をしたところ、「家でも同じことを言っていたんです。先生に相談をしてきなさい、と送り出したんですが、言い出せなかったんですね」とのことでした。当然のことながら、とても感謝をされました。その後の入試は、きちんと合格をして笑顔で送り出すことができました。
他にも落ち込んでいる生徒はいたので、声をかけた生徒はたくさんいます。それでも、日頃から接している生徒を見ていると、根拠はないですが違和感を覚えることが今でもあります。出迎え・見送りの時に、挨拶だけで済ませるのか、それとも話しかけをしてコミュニケーションをとっているか、これだけで大きな差が生じてしまいます。
受験当日に、私たちは傍にいてあげることはできません。力になれるのは前日まで、または試験当日の校門前までです。
だからこそ今、生徒さんたちと過ごす時間を大事にしなければいけないですし、これから期待を胸にして通ってくれる体験生の期待を裏切ってはいけないのです。
その3 時には厳しく
「今すぐ受験生をやめてしまえ。壁の実績を見ろ。これだけたくさんの合格者を送り出せる塾だと、心から誇りに思っている。でも、勘違いをするなよ。その椅子に座っていれば勝手に学力が上がって、合格できるわけでは決してない。努力を重ねて、つらいことや苦しいことを乗り越えてきたからこそ、先輩たちはこうして素晴らしい成果を何年も何年も出せているんだ。先生たちも、この仕事を誇りに思い、大きな責任感を背負いながらやっている。頑張っている仲間の邪魔をするなら、今すぐここを出ていってくれ。」 (自主規制により、一部の表現は実際よりも柔らかい表現に変わっています)
合格をした後の中3送別会で「まじで、あの時は怖かった。でも、あの時のおかげで、俺は受験生になれた!」と話していたのが印象的です。実際には、引き続き小テストの不合格や忘れ物が続いたので、あと数回の落雷がありましたが・・・。
私たちは、生徒・保護者の前に立てば平等です。楽しくて分かりやすい先生が競演していて、結果が伸びていけば、誰も辞めることなく、口コミが広がって問い合わせが殺到することでしょう。皆さんの教室にブームの火付け役は、いますか。
見渡してみてください。見つかりましたか? 答えは、あなた自身です。
私が先輩からもらった教えの中で、「1回の代講で生徒を魅了することができるように、スキルを磨いて知識を増やして、生徒のやる気を喚起させられる力を身に付けろ」というものがあります。自分自身を魅力ある商品として磨き上げ、ファンを増やそうと思います。
たった一言で、未来を変えることができるかもしれない 良いほうにも、悪いほうにも・・伝える側に責任がある
授業中、休み時間、登塾時、帰宅時、面談時、我々は多くの言葉を発しています。あらかじめ台本を用意しておいて、今日はこの話をしようと決めていることもあれば、突発的に発することもあります。いずれにせよ、言葉には受け取り手がいて、それに対するリアクションが生じます。
同意・傾倒・反発・敬意・奮起・憤怒など、様々な思いを抱きます。
これから、進路指導を迎えます。毎年のことながら、残念なクレームが入ることがあります。「無理だと言われた」「諦めろと言われた」という類のものです。
成績や過去のデータから判断すると、たしかにそうなのかもしれません。その生徒に不合格にはなってほしくない、という気持ちがあるからこその、進路指導なのでしょう。それでも、伝え方を間違えるとこうなってしまうのです。もちろん、その逆もあります。
先生の一言がきっかけで、無理だと思っていた学校に進学を決めた生徒たちもたくさんいるはずです。
これから、大切な時期を迎えます。全力でぶつかっていきます。